ウェストミンスター寺院の東日本震災追悼式
その特別礼拝が行われることを知ったのは、2週間くらい前の勤務時間中。そんな大切な追悼式には、何があっても行かなくてはいけない!と思って、X君の意向も聞かずに「出席」の返事を出してしまいました。
寺院の前にある掲示板にも、真ん中にそのポスターが貼ってあります・・・。
GREAT EAST JAPAN EARTHQUAKE MEMORIAL SERVICE.
日本にいなかったから、震災の恐怖や苦労に直面していない。
大切な家族を失った悲痛も味わっていない(実に幸いなことに…)。
放射能汚染の脅威などが、自分の日常生活を侵していない。
国内にいれば自粛ムードで、先月の旅行など出来なかったはずだ・・・。
そんな想いがいつも心の一部を占めているのに、ささやかな募金など以外には特別に慈善活動もせず、ロンドンで平常な会社員生活を続けている・・・・そういう後ろめたさが、どうしても拭えないからです。
もちろん最近ではロイヤル・ウェディングで改めて脚光を浴びましたが、もともとエリザベス1世をはじめ王族も多く眠る、英国屈指の大寺院です。日本を代表して在英国日本大使、イギリスからは政府や王室からも代表者が参加した大きな追悼式になりました。
その様子はウェストミンスター寺院のホームページからお借りした以下の写真で、雰囲気が伝わってくるのではないかと思います。
私は仏教もキリスト教も特別に信じていないのですが、やはり黄色い袈裟を召したお坊さん方の、「南無妙法蓮華経・・・」という声がウェストミンスター寺院の中で木霊のように響いていた時は、自然に手を合わせて黙祷していました。
音楽の素晴らしさにも、ひときわ感動しました。入場の際にはバッハ幻想曲ハ短調、閉会後の退場には同じくバッハのフーガ・ハ短調が、この寺院のパイプオルガンで奏でられて・・・もしかしたら、本当にこれが天上の音楽なのかもしれない・・・・と思えるような、美しすぎて切なくなってしまう音色。
彼女の衣装は、純白のドレスに燃えるように赤い花の髪飾り。日本の国旗のイメージでもあるし、白は喪失と悲しみの白、真っ赤な色は勇気・希望・情熱のたぎる血潮のようだ、と思いました。
英国人メンバーで構成された和太鼓グループ「魂太鼓」は、とても威勢のよいリズミカルな和太鼓を披露してくれて、妙法寺のお坊さんによる念仏くらい、ウェストミンスター寺院ではなかなか聞けない筈の音色。
でも、津波で亡くなった方々の中には漁師さんも多かったと思うから・・・きっと彼らは、「辛気くせえ賛美歌よりも、こっちの方が景気がいいねえ!」って喜んでいたんじゃないかなぁ。
追悼式の最後の祈祷は、何人かの人たちが交代で読み上げる長いものでしたが・・・壮麗なウェストミンスター寺院に響き渡ったその声が、今でも聞こえるような気がします。
「天の父、慈悲の神よ、東北大震災と津波の影響で被害を蒙ったすべての人々の為に祈ります。
命を失った人々が安らかな憩いにつくことができますように。愛する者の死を嘆き悲しむ人、今もなおその行方を探し続ける人たちが皆、あなたの愛を通して慰められ力づけられますように。
主よ、お聞きください。慈悲深い神よ、お聞きください。
(中略)
み子を死から甦られた全能の神よ、今ここに日本の人々をあなたの尽きることのない愛にお委ね致します。
暗闇のあと新しい日の夜明けがくるように、多くを失った人々に慰めが、絶望のさなかにある人々に希望が、悩んでいる人々に平安が、そして仕事の重荷に苦しんでいる人々に力が与えられますように。
私たちの主イエス・キリストのみ名によって、これらの祈りを捧げます。
アーメン」
でも、やはり来てよかった・・・。沢山の日本人や英国人と心を一つにして、亡くなられた大勢の方々やこれからの再建に立ち向かう人々のために、お祈りを捧げることができて・・・とても有難く思います。
また、英国赤十字を通して被災地へ送る献金のため、小柄な体で重そうな募金バケツを持っていた小学生たち・・・。つやつやな黒髪の小さな頭を、撫でてあげたくなるくらい。イギリスと日本を結ぶ小さな親善大使たちの姿は、とても誇らしいものでした。
日本にいた頃は原発の事なんか反対運動どころか、何も考えずに暮らしていた私は・・・この子たちに原発の後始末を押し付けた間接的加害者のような気もして、とてももどかしく申し訳ない気持ちも湧いてきます。
色んな感情が交錯して、とても一言では表現できませんが・・・これからもずっと永く私の心に残る日になるでしょう。地震発生から、もうすぐ三ヶ月。この追悼式によって、これからも少しずつでも被災者支援を続けていこう、と思いを新たにする事ができました。
★★★イギリスの日本人コミュニティ、皆さんが頑張って地震・津波被災地の支援イベント・募金活動をしています♪ 現在オンライン・ジャーニーのウエブサイトに、それら支援活動の告知板があります。こちらをご覧下さい♪ ★★★
*********************
本日も読んで頂いてありがとうございました。
↓ ランキング応援クリック、よろしければお願いします。
にほんブログ村
「わぁ、沢山の方が読んでくれているんだ…」
って実感してとても嬉しく、私の元気の素になってます♪
ウエストミンスター寺院で追悼式があったなんて、驚きました。かわいい小学生達の姿もなんとなく想像できて感動しました。londepaさんは、ロンドンで平常な生活の”後ろめたい”とおっしゃっていますが、日本に住んでいる私も、やはり同じ気持ちです。節電でほんの少しこれまでとは違うこともありますが、被災地の方々から比べれば、まったく平常…。複雑な気持ちです。
チンクエテッレ、本当に行ってみたら良さが分かりました。気候や食べ物だけでなく、何かイタリア時間が流れていて・・・のんびり英気を養った気がします。
ウェストミンスター寺院の追悼式は、とても感動的で・・・あんな最高峰の場所で開催してくれたイギリス政府や国教会にも、感謝の気持ちを抱きました。
日本でも被災されてない方々は同じように複雑な心境なのですね。電力不足で今夏は大変だと思いますが、どうぞお身体に気をつけて酷暑を乗り越えてください!
日本の津波地震以降、各地で色々な動きが広まっていますね ドイツの原発廃止計画など
仰る通りで、復興まではまだまだ長い道のり 忘れず応援し続ける事が日本人としての使命ですね 頑張ってお仕事しなくては!
ところで、、、イギリス在住の先輩へ不躾ですが質問があるのですが、今月にブライトンで行われるBrighton Japan Festival については何かご存知でしょうか? 今年初めていてみようかと思ってるのですが、一週間もあるみたいなので何が目玉なのか、どれくらいの規模のお祭りなのかも見当つかず。 この場を借りてすいませんが、lodepaさんにご教授願いたく存じます
とても感銘を受けた追悼式でしたよ。でもロンドンから遠くにお住まいだったら、それだけのために来るのは難しいですよね。
ところでブライトン、私はむっか~し一度日帰りで行った事があるだけで、全然ブライトン事情には暗いのです。ブライトン・ロックという固い金太郎飴みたいのがお土産やさんにあった・・後はボーンマスなどイギリスのビーチ風景で。
そうそう、ヒッピーやゲイ・カルチャーも盛んだという事を、ブライトンに住んでいた事のある同僚が言ってました。ビーチで歌舞伎町でフラワーチルドレンで(?)意外に奥が深いのかも、ブライトン。